脱毛後のアレルギーによる症状について 2

前回は医療脱毛後のアレルギー症状の概要について記しました。

今回は捕捉、論文を通して更に掘り下げていきます。

長い!と思う人は前回だけでもまとめてあるのでそちらだけでも是非。

前回はこちらをクリックして読んでみてください

参考論文は

Urticaria induced by laser epilation: a clinical and histopathological study with extended follow-up in 36 patients. (Lasers Surg Med. 2012 Jul;44(5):384-9)

というもの

アレルギー症状としてレーザー脱毛後に「かゆくてしつこい たくさんの蕁麻疹」がでる例を書いています。

どんな症状なの?

しつこく、強くかゆい皮疹、丘疹、融合する紅斑

という症状が 6時間から72時間後に出現した。

そういった記述がなされています。

出る場所としては ほとんどの人は足に出て下半身に多く、鼠径部等にも出る人もいた、と。

上半身は少ないです。

当院でも、すね(下腿)中心に症状が出る人が全員でした。

上半身に強く出る人は少ないですが、少数認めています。

上記論文中では13284人中36人にこのタイプの症状が出た、と記されています。

このように割合いとしてはごく少数ではありますが

当院でもある程度の人数は見てきています。十数人ほどです。

実はスタッフでも一人いたのです。

すぐ治る部分もあれば3~4週ほどかかって落ち着く部分もあるのでなかなか大変な症状です。

レーザーをあてたとき、すぐには出ない!

脱毛レーザーを照射後(エステの光脱毛でも同様ですが)時間が経ってから現れます。

半日後くらいから出る人多い印象です。

論文中では6~72時間後に出現、と書かれています。

どうして遅れてでてくるのでしょう?

アレルギーにはタイプがあって、すぐに症状が現れるタイプもあるのですが、このレーザー脱毛後のアレルギーの場合は「遅延型アレルギー」と呼ばれるもの。(Ⅳ型アレルギーとも書かれます)

レーザー照射により毛包が壊れて抗原が体内に出ると抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞)に貪食・分解されたのちT細胞に提示され、感作されることによって抗原刺激でサイトカインが産生され炎症反応が起こってきます。

抗原侵入後、この炎症反応は48時間後くらいがピークとなります。

このアレルギーはこのステップに時間がかかるタイプなのです。

アレルギーなので1回目から起きない人もいます。

2回目のレーザー照射で起きる方もいるのです。

前に脱毛をしていなくても、何らかのかたちで抗原に出会っている方の場合は、初回の脱毛後に起こります。

極端に言えば、ちょっと毛が焦げたことのある人などは抗原に触れている、というパターンになるのではないでしょうか。

いずれにせよ一度起きたならば、毎回レーザー脱毛後にはこのアレルギー症状が起こるわけです。

アレルギー症状を防ぐためには内服が効く!

上記論文中ではレーザー照射前のステロイドの内服によって症状を抑えて脱毛を継続させた、と記載されています。

うまく内服薬を使えば、驚くほどに皮疹は出にくくなります。

当院の場合は抗アレルギー薬の内服で、脱毛を継続していく、といった方針で行っています。

この方法でうまく脱毛コースを修了させた患者様が大半です。

中にはやはり怖くなって1回(もしくは2回目)で辞めてしまう人もいらっしゃいましたが、内服を併用することで結果はしっかりとみられているので非常に有効と言えます。

医療脱毛にせよ、エステでの光脱毛にせよ、上記の様な症状が起きてしまい、脱毛自体をあきらめてしまった、という方もいらっしゃると思います。

当院では症例も豊富に見ているので、予防対策をうまく計画的に行い、改めて脱毛を考えていくお手伝いができるのならば、と考えます。

新宿ドクター松井クリニック 松井